火の起源の神話
カヤポ=ゴロティレ族と同じ系統の言葉を話すアピナイェ族の火の起源の話です。 カヤポ=ゴロティレ族のお話と読み比べてみてください。
ある時、一人の男が岸壁の割れ目にコンゴウインコ(写真参照)の巣を発見しました。
彼は義理の弟にひなを取ってくるように命じましたが、義弟の少年はひなを取ることができませんでした。怒った義兄は、少年を岸壁の上に置き去りにして帰ってしまいました。
5日の後、ジャガーが岸壁の下を通りかかり、少年を背中に乗せて川岸へ行き、水を飲ませ、体を洗ってやりました。その上、少年を自分の養子として家へ連れて帰りました。
ジャガーの家に行ってみると、ジャトバの大木に火が燃えていました。少年は火というものを初めて目にし、焼肉も初めて口にしました。
次の日、少年はおなかがすいたのでジャガーの妻に「食べ物を下さい」というと、彼女は牙をむいて少年を脅しました。そのことを聞いたジャガーは、少年に弓と矢を与え、その使い方を教えました。
ジャガーの妻がまた少年を脅したので、少年はジャガーの妻を矢で射殺しましたが、ジャガーはそれを「やむをえないこと」と認めました。
そして、少年に焼肉をどっさりもたせ、もとの村へ帰る道を教えてやりました。少年を送り出すにあたって、ジャガーは少年にこう注意しました。
「途中呼び声が聞こえたら、岩とアロエイラには答えてもいいが、腐った木には返事をしてはならない」
ところが少年は、うっかり腐った氣の呼び声にこたえてしまったので、それ以来人間の命は短くなってしまいました。
その後で少年は、メガロンカンデュレという化け物の呼び声にも答えてしまい、籠の中へ閉じ込められてしまいます。けれども自分の身代りに、籠の中へ大きな石を入れてまんまと逃げおおせました。
村に帰った少年は、人々に自分の冒険を話して聞かせました。村人たちは、みんなでジャガーのところへ火というものを貰いに出かけました。ジャガーは彼らを大歓迎して、少年の父親に、
「私はあなたの息子を養子にしたのだから」と言いました。そして贈り物として人間たちに快く火を分け与えました。