ブラジル情報 神話編4 アピナイェ族の火の起源

火の起源の神話  コンゴウインコ.jpg

カヤポ=ゴロティレ族と同じ系統の言葉を話すアピナイェ族の火の起源の話です。 カヤポ=ゴロティレ族のお話と読み比べてみてください。

 ある時、一人の男が岸壁の割れ目にコンゴウインコ(写真参照)の巣を発見しました。
彼は義理の弟にひなを取ってくるように命じましたが、義弟の少年はひなを取ることができませんでした。怒った義兄は、少年を岸壁の上に置き去りにして帰ってしまいました。
 5日の後、ジャガーが岸壁の下を通りかかり、少年を背中に乗せて川岸へ行き、水を飲ませ、体を洗ってやりました。その上、少年を自分の養子として家へ連れて帰りました。
 ジャガーの家に行ってみると、ジャトバの大木に火が燃えていました。少年は火というものを初めて目にし、焼肉も初めて口にしました。
 次の日、少年はおなかがすいたのでジャガーの妻に「食べ物を下さい」というと、彼女は牙をむいて少年を脅しました。そのことを聞いたジャガーは、少年に弓と矢を与え、その使い方を教えました。
 ジャガーの妻がまた少年を脅したので、少年はジャガーの妻を矢で射殺しましたが、ジャガーはそれを「やむをえないこと」と認めました。
 そして、少年に焼肉をどっさりもたせ、もとの村へ帰る道を教えてやりました。少年を送り出すにあたって、ジャガーは少年にこう注意しました。
 「途中呼び声が聞こえたら、岩とアロエイラには答えてもいいが、腐った木には返事をしてはならない」
ところが少年は、うっかり腐った氣の呼び声にこたえてしまったので、それ以来人間の命は短くなってしまいました。
 その後で少年は、メガロンカンデュレという化け物の呼び声にも答えてしまい、籠の中へ閉じ込められてしまいます。けれども自分の身代りに、籠の中へ大きな石を入れてまんまと逃げおおせました。
 村に帰った少年は、人々に自分の冒険を話して聞かせました。村人たちは、みんなでジャガーのところへ火というものを貰いに出かけました。ジャガーは彼らを大歓迎して、少年の父親に、
「私はあなたの息子を養子にしたのだから」と言いました。そして贈り物として人間たちに快く火を分け与えました。

ブラジル情報 神話編3 カヤポ=ゴロティレ族の火の起源

火の起源の神話

ジャガーに助けられたボクト ジャガー1.jpg

 ある日一人の男が、険しい岩の壁の頂上にコンゴウインコが巣を作っているのを見つけました。彼は早速間に合わせの梯子を作り、妻の弟のボクトを連れてきて、
「この梯子を登って、コンゴウインコのひな鳥を捕まえてこい」
と命じました。ボクトは言われるままに昇って、巣をのぞいてみると、ひな鳥はいなくて、ただ卵が二つだけでした。義理の兄が、
「それならその卵をこちらによこせ」
というので、ボクトがそれをなげおとしてやりました。
ところが、卵は落ちていく途中で石にかわり、義弟の手を傷つけてしまいました。義兄は怒って梯子を取りはずし、ボクトを岸壁の上に置き去りにして家に帰ってしまいました。
ボクトは何日間も岸壁の上に取り残されたまま、ひもじさと、喉の渇きに苦しみ、ついには自分の大便を食べて、どうにか命をつながなければなりませんでした。
そうしているうちに、一頭のジャガーが、弓と矢とたくさんの獲物を持って岸壁の下をとおりかかりました。ボクトはジャガーに助けを求めたいと思いましたが、怖くて声が出せませんでした。
一方ジャガーは、地面に映った少年の影を見て、それを獣と思いこみ影を捕まえようとしましたが直ぐに自分の間違いに気付き岸壁の上にいるボクトを見つけました。
「そこで何をしている」
と、ジャガーが尋ねたので、ボクトは岸壁に取り残された訳を話しました。するとジャガーは、そこで折れたままになっている梯子を修理して、岸壁に立てかけ、ボクトに降りてくるように言いました。
 ボクトはしばらくためらっていましたが、ついに決心して梯子を下りてきました。するとジャガーは、
「焼いた肉をごちそうするから、家に来ないか。私の背中に乗りなさい。」
と、親切に言ってくれました。けれどもその頃の人間たちは、火というものを知らず肉は生を食べていたので、ボクトには「焼いた」の意味が分かりませんでした。     

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ブラジル情報 神話編2 ケラジャ族の死の起源の神話

人間の誕生と死の神話 

 世界が始まったばかりの頃、人間は人類の父カボイと一緒に、大地のおなかの中で暮らしていた。
この地下の世界では、昼と夜がさかさまで、地下の世界に太陽が輝くときは、地上の世界は夜でした。地上の世界に夜が訪れると、地上の世界にようやく太陽が昇り始めます。
大地の下に住む人間の耳には、時どきどこか遠くから、サリエマという鳥の鳴き声が聞こえてきました。
ある日のこと、カボイはこの鳴き声がどこから聞こえてくるのか確かめようと、何人かの人間を連れて出口のところまで来ました。けれどカボイは太りすぎていて、この出口を通り抜けることができませんでした。
「仕方がない、お前たちだけで調べてきなさい」
そこで、一緒に来た人間達が大地の外の未知の世界へ出かけました。彼らはたくさんの果物やはちみつなどの見本をカボイの許へ持ち帰りました。その中に枯れ木なども交じっていました。カボイはそれらのものを丁寧に調べた後、人間達にこう言いました。
「地上の世界は美しく豊かなようだ。だが、この枯れ木を見るがよい。これは地上の世界にあるもの全て早く滅びなければならないことを示している。お前たちはこの地下の世界に留まったほうがよさそうだ。」
しかし、カボイの子孫である人間の一部は、彼のいうことを聞かず、地上で生活を始めました。その為、地下に残った仲間よりずっと若いうちに死んでしまうのです。カボイのいる地下の世界にいれば、年をとって動けなくなるまで生き続けられるのに・・・。

ブラジル情報 神話編1 ムンドゥルク族の太陽と月の神話

太陽と月の神話 

ムンドゥルク族の神話では、太陽と月が夫婦ということになっています。この夫婦はいつも船に乗り空の海を航海しています。この話はある男が、この夫婦にあったことで起こる不思議な話です。

遠い昔のことです。カルエタルイベンという男が、自分がひどく醜い容姿であるため妻が自分を寄せ付けず、新しい恋人を作ってしまったと、一人川岸で嘆いていました。そこへ太陽と月が船で通りかかり男の様子を見て、どうしたのかと尋ねると、
「妻が私をうらぎっているのです」
そう話す男の悲しみが深いのを見て、太陽はカルエタルイベンを生まれ変わらせることにしました。
カルエタルイベンをすぐに胎児に変えて、妻である月のおなかへ入れ、三日後には赤ん坊が生まれました。生まれ変わったカルエタルイベンは、すくすくと成長しすばらしい美男子になりました。
太陽は、籠一杯の魚を土産に持たせ
「村に帰ったらお前を裏切った妻と別れ、別の女と結婚するがよい」 と、言いました。
一方カルエタルイベンの妻に兄弟がいて、彼の身に起こったこと問い詰め、自分も美男子にしてもらおうと真似をしますが、うまくいくようなことではありません。この男は太陽を怒らせてしまい、ひどく醜い姿に変えられ魚ももらえず村に返されたということです。

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